良い悪いは別にして・・・・
  むかし むかし そのむかし
刈 草
合歓の花が咲いている。
あの赤い花を見るたびに
刈草山の草刈りを
思い出すのだった。

毎年 伸びてくる
ぼくの背丈ほどの
合歓の木を束ねて帰り
庭に敷いた筵に干す。

どうして合歓の木だけべつにするん?
ぼくは不思議に思ってお爺さんに
そう聞いたことがあるが
お爺さんは本当のことを教えてくれなかった。

そのときはそう思ったが
後年 大きくなってから想像すると
お爺さんも本当のことは
知らなかったのではないだろうか?

なんとなく あの赤い花を
牛に食べさせれば立派になると
そう信じていたように思う
だって 花が綺麗なんだもの。 

このサヤエンドウのような実は牛たちによかったのか、夏になると庭一面に筵を敷いて合歓木を干していたのを覚えている。

爺さんは馬喰だった。北から南へ、東から西へ、いい牛がいるというと、どこまで歩いて出かけて行った。土産はなんだたか、いまは覚えていないが、きっとあったのだろう。爺さんは日露戦争の英雄だった。右足貫通銃創だったけどね。
遠いむかしのことだが、米軍が日本を占領したときに飛行機から日本中に種を蒔いたと聞いて、ずっとそう信じていた。夏になるときれいな花が咲く。合歓の木とは眠る木からついた名だそうだ。人も木も夜は眠るものなのだろう。

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