フジバカマ

【フジバカマ】キク目キク科ヒヨドリバナ属フジバカマ。古来より親しまれた多年草。
  平安時代の女性たちに愛されて花です。乾いた藤袴の花を十二単のたもとにそっと忍ばせるのがその時代の女性のたしなみだったそうです。ヨーロッパを中心に流行った匂い消し(香水)と違って、奥ゆかしい匂いだったことでしょう。
 その時代はごくふつうに見られる花だったのでしょうが、現代は絶滅危惧種とされ、あまり見かけないなりました。矢切の渡しの少し下手の川原の土手には一部分だけですが、かたまって咲いている場所があります。
  この写真のようにすぐそばに他の植物を枯らしながらふえていくといわれるセイタカアワダチソウが咲いているのが不気味です。やがて駆逐されるのでしょうか、それとも新参者になど負けるものかと花を咲かせ続けるのでしょうか。

  紫式部はその著『源氏物語』のなかで藤袴をうまくとうじょうさせています。夕霧(ゆうぎり=光源氏の長男)は玉鬘(たまかずら=夕顔の娘)に藤袴を差し出して「おなじ野の露にやつるゝ藤袴あはれはかけよかことばかりも」と詠いかける場面で藤袴を使っています。


  情熱の歌人・与謝野晶子になると次のように藤袴を使っています。
       むらさきのふぢばかまをば見よと言ふ二人泣きたきここち覚えて   晶子
  どうぞ! ご自由に解釈なさってください。


秋の七草(萩 薄 桔梗 撫子 葛 藤袴 女郎花)のひとつ。花の色が藤に似てることと、葉っぱが袴のようだというのでついた名らしいが、現代ではピンとこない。

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撮影:2012年10月16日

やどりせし 人のかたみか 藤袴
 わすられがたき 香ににほいつつ


           古今和歌集 紀 貫之
ゆうべ泊まって行った人の残していった匂いだろうか、
    この藤袴の香りは、ああ、忘れられないあの人よ

   

現代人には合わないのでしょうか。訪れる人とてない静かな土手道です。

咲き終わるとご覧のとおり。いかにも藤袴らしい花の終わりです。

これで咲き誇ったというのでしょうか。なんだか、あわただしを感じます。

集団で見ると白い花に見えるが、近づくと虫の集合体のように見えなくもない。