それは気妙な花だった。まるで子どもがいたずらをして、花の咲いた茎をひねったような咲き方をしていた。自家受粉の花ならわからなくもない。落ちてきた花粉を無駄なく使うためなら。

ネジバナ

【ネジバナ】
  ラン科ネジバナ属の小型の多年草。 この花がラン科の花とはとても思えない。芝生や土手や公園など、身近なところでふつうに見かける花だからだ。おかげで、草刈り機などで刈り取られてしまう。
  江戸時代には観賞用に栽培されていて、「もじずり」という優雅な名前で呼ばれていたそうだ。

  陸奥(みちのく)の しのぶもぢずり 誰(たれ)ゆゑに      
                        乱れそめにし われならなくに  
                  河原左大臣(14番) 『古今集』恋四・724
【現代語訳】
  陸奥の信夫(しのぶ)地方で織られる乱れ模様の摺り衣(もじずり)のように、乱れる私の心は、いったい誰のせいなのでしょう。私のせいではないのに(あなたのせいですよ)。

  「もじずり」という呼び名は、福島県の信夫地方で織られる乱れ模様の摺り衣のこと。上の和歌は「百人一首」にもなっているのでご存じの方も多いだろう。「乱れる心」を「しのぶもじずり」で表現している。
 この花も、キンラン、ギンラン、サイハラン、イチヤクソウなどと同じようになんらかの菌類と共生しているとされ、その証拠に採取してきて鉢植えや花壇に植えてもうまく育たない。この写真のそうに住宅のそばに寄りそうように生えているほは珍しい。


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